Lazy Bear

Categories

Archive

Site search

Feeds

Meta

英国王のスピーチ

イギリス王ジョージ5世の次男ヨーク公は、幼少の頃より吃音症に悩まされ、国民へのスピーチを最も苦手としていた。様々な医者にかかり何とか治療をしてみようと試みるものの、彼の吃音は一向に治る気配がなかった。そして次に白羽の矢が立ったのは、言語聴覚士のライオネルという人物だった。しかし彼は植民地であるオーストラリアの出身で、協会が認めていない独自の治療法を行う異端の人物だった。


この映画はかつてのイギリス国王ジョージ6世と、彼の治療を担当したライオネルの話を元にした、実話ベースの脚本です。
ヨーク公は吃音に悩まされて半ば話す事を諦めているのですが、ライオネルがそれを徐々に克服させるというもの。ライオネルの手法は王族であろうと例外を認めず、初対面から気安く話し掛けてくる、かなりの変わり者として描かれていました。ヨーク公は内気というよりも、吃音の自分に自信がなく、割と癇癪持ちです。
序盤はヨーク公は次の王という立場でもなく、治療自体にそれほど前向きではありませんでした。また、ライオネルはまずは心を開かせようとあれこれ指図し、結果的にヨーク公の癇癪を爆発させたりと、どうにもうまくいかない過程が描かれています。

やがてドイツと開戦を迎え、国王に即位する事になったヨーク公はプレッシャーに押し潰されそうになり、スピーチも全くうまくなりません。そこをライオネルや家族の協力で乗り越えていく、その流れは実に感動的でした。王になりたがらなかったヨーク公がジョージ6世としての自覚を持ち、自身の吃音を克服していく、僕も話上手という訳ではないので思わず共感出来てしまいます。
また、ジョージ6世は幼少から随分と辛い体験を繰り返してきたため、現在のような問題を抱える状態になったという背景が、国民へ向けてスピーチをする事にどれだけの重要な意味があるのか、実に多くを考えさせます。その上での決断と行動には、ただひたすら感動するばかりでした。

当時の映像としてヒトラーの演説がありましたが、確かにこれと比較するとかなりプレッシャーを感じるだろうというのが分かります。同じ内向的な人間だけに、その対比はいささか残酷かな。
それとチャーチルの無駄なクォリティに吹いてしまった。あまりに似すぎて完全に出オチレベル。

オススメ度は5。アカデミー賞最多ノミネートの看板に偽りのない名作だと思います。見る世代は選ばない内容なので、家族でも観に行けるでしょう。

Write a comment