Lazy Bear

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武士の献立

春は、加賀5代藩主前田吉徳の側室である、お貞の方に仕える天涯孤独の女中だった。彼女は非常に料理達者だったが、勝ち気で口数の多い性格のため、一度は商家に嫁いだものの、1年も経たずに離縁される有り様だった。
そんな彼女の素質を見込んだのは、前田家に代々仕える料理人の舟木伝内。彼は剣術にしか興味を持たない次男の安信の嫁にと請願する。
春の指南もあって安信は着実に腕を上げてきた。だが前田家は、後に加賀騒動と呼ばれる騒乱を迎える。それは舟木家も例外ではなかった。


主演は上戸彩、高良健吾。
実在する加賀料理のレシピ本である料理無言抄、その著者とされる舟木親子を中心に、春の視点で描かれた時代劇です。
タイトルからすると料理が中心の話のようですが、意外と料理だけでなく加賀騒動にまつわる部分が多く、当時の記録をよく表した時代劇作品でした。加賀の料理は当時から非常に多種多彩で、文化の中心であるはずの江戸にも劣らぬものです。それらを再現した饗応のシーンは、見ていて食欲をそそられるものでした。それ以外にも、日常での食事シーンや調理シーンも多く、いずれもタイトルに偽りのない素晴らしい出来だったと思います。
その一方で、剣術に明け暮れる安信が、自分の本質は武士であり、武士とは包丁ではなく刀をふるうものだという事を印象づける決定的なシーンがあります。加賀騒動にまつわる舟木家の様はフィクションだとは思いますが、このエピソードからのラストへの饗応までの展開は、非常に綺麗にまとまった上で素晴らしい内容でした。何故舟木家は包丁をふるうのか、それに対して明確な答えを出しているのが特に良いです。
気になった点は、能登への一連のエピソードは正直なところ特に見どころも無かったのでカットしても良かったのではないかと思ったのと、EDテーマのあまりの作品との合わなさです。まあ、全体的な出来が非常に良く、さほど気にするほどではありませんが。

オススメ度は5−。ただ作って食べるだけではない、意外に本格派の時代劇です。これからの年末年始にも、ぴったりな作品ではないでしょうか。

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