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ゲティ家の身代金

世界一の大富豪であるゲティ家の孫ポールは、ある日ローマで何者かに誘拐される。その後犯人が提示した身代金は1700万ドル。財産分与等を一切放棄し親権のみで離婚した母ゲイルにその金額が用意できるはずもなく義父に頼るものの、彼はメディアの前で公然と身代金の支払いを拒否する。
その一方でゲティ家の渉外担当のチェイスは、ポールの行方を独自に捜査する。しかしこれをポール自身の狂言誘拐と判断してしまい、誘拐交渉は事実上停止してしまう。


監督はリドリー・スコット。
本作は1970年代に実際に起こった誘拐事件を題材にした映画です。誘拐犯と守銭奴の義父との板挟みで、チェイスと共にどうにか息子を取り戻そうと奮闘するゲイル。この強い母親の姿以上に、ゲティの守銭奴ぶりの徹底さが凄まじかった。身代金関係はともかく、ルームサービスの代金をケチり、来客用の公衆電話を屋敷の中に作り、アレは税金控除の手段にしたり。何のために稼ぐのかというより、金のために稼いでいるような印象。財産の形態上投資や投機にしか使えないからああいう買い漁りはしていたんだろうけれど、いやそれでもな、という印象が本当に強い。このゲティはとにかく徹底しているため、非常に話の展開と構図が分かりやすかった。マーク・ウォルバーグ演ずるチェイスが理知的に常識さを持って交渉役をするのだけど、これがうまく話を回していると感じた。ゲイルの時折ヒステリックになる像だけでは流石に話が進まないだろう。
実際とどれだけ差異があるかは分からないけれど、作中の警察の無能ぶりは本当にぞっとするようなものだった。冒頭でポールが語る「きっと同情するだろう」の意味が良く分かる展開である。ポールが無事だったのが本当に幸運でかつギリギリの状況であり、その辺りの背景を想像するといかに絶望的だったか。こういった状況を演出するのは、やはりリドリー・スコットらしいと思う。

オススメ度は4+。本物の守銭奴が見たい、というだけでも十分に応えてくれる作品だと思います。細かいところまで徹底した良作のサスペンス映画です。

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