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コリーニ事件

3ヶ月前に弁護士になったカスパーは、ハンス・マイヤー殺害事件の弁護士を引き受ける。しかし犯人のファブリツィオ・コリーニは、その犯行動機について頑なに黙秘を続ける。カスパーにとってハンスは幼少時代から自分の父親代わりとも呼べる恩人でもあり、コリーニの態度には遂に痺れを切らす。だが少しずつ明らかになっていくハンスの過去に絡み、コリーニの生い立ちと動機を知る事になる。


原作は同名のベストセラー小説。法廷劇の作品ですが、その焦点はもっぱら手口ではなく黙秘を続けるコリーニの動機になります。経済界の大物を残酷極まりない手段で殺したコリーニ、判決は終身刑で早く終わらせ裁判自体を長引かせたくない、そんな序盤になります。主人公カスパーにも積極的に弁護する理由もなく、ただただ弁護士としての義務感で続けているため、コリーニにはさほど肩入れもしません。しかしそこからドイツの過去をさらって行くと、徐々に事件の正しい構図が明らかになっていきます。その辺りの経緯よりも登場人物たちの反応の方がなかなか衝撃的でした。どうにも僕には明らかに知ってて知らないフリをしているようにしか見えません。だからこそ裁判を早く終結させたがったのでしょう。そういう意味で笑いの絶えない法廷というのは恐ろしいものがあります。
本作にはドレーアー法という言葉が出てきます。この映画は原作も含めあくまで創作なのですが、ドレーアー法と呼ばれる法律は実際に存在し、これが世間に知られる事となったためドイツ法務省は動かざるを得ない自体に発展しました。原作者はまさに不都合な真実、みんなが知ってて知らないフリをしていた事を掘り返した形になります。エンターテインメントを楽しむというよりも、そういった歴史的な法整備の問題を知るために見るのが正しい楽しみ方かも知れません。

オススメ度は5。非常に興味深く楽しめる法廷劇です。専門用語がやや多くてハードルの高そうな作品かも知れません。

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