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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

第一次世界大戦の終戦直後、ボタン工場を経営するトーマス・バトンに一人息子が誕生する。しかし妻は息子の出産とほぼ同時に死亡、そして遺されたのは老人の姿をした不気味としか形容しようのない赤ん坊だった。
妻の遺言に背き、トーマスは生まれたばかりの赤ん坊をティジーとクイニー夫妻が切り盛りする老人福祉施設へと置き去りにする。赤ん坊を見つけたクイニーは、この子もまた神の子と自分が育てる事を決意、赤ん坊にベンジャミンと名づける。

ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの共演。バベル以来2度目らしいです。ブラッド・ピットの映画はよく見てるけれど、ケイト・ブランシェットの映画はほとんど見た記憶が無いです。名前は知っているんだけれど。

老人の姿で生まれて歳と共に若返る奇妙な男の物語。ストーリーはベンジャミンの幼馴染であるデイジーが老境の際に娘にベンジャミンの日記を読んで貰いながら彼の人生を振り返るという、回顧録的な感じです。
個人的には幼馴染+難病というベタな恋愛映画と思っていました。ところが蓋を開けてみると、なかなかシビアで、むしろ酸っぱい部分が多いような印象を受けました。ベンジャミンの日記が中心のため話の視点もほとんどはベンジャミンになります。ベンジャミンは自分が普通ではない事に初め悩みつつ徐々にそれを受け入れていき云々、と成長モノとしては割とベタ。ただ、老人の姿なのに普通の人間にありがちな体験をしているのはちょっと疑問。老人の姿しているだけで中身は歳相応だからとか、そういう設定なんだろうか? 深い意味があるのか無いのか、どうとでも取れはします。
そして幼馴染のデイジーとくっ付いたり離れたりを繰り返し、尚且つベンジャミンもなんだかんだで色々遊んでいたりとか、そういった主だった流れは恋愛モノの定番だと思います。けれど、物語が佳境に差し掛かるとある日途端に冷や水を浴びせるように現実を突きつけられ、そのままラストを迎える、そんな生々しさすら感じるラストに、「これって結局は恋愛モノじゃなかったのかな?」とふと思いました。

ベンジャミンは老人福祉施設、要は老人ホームで暮らしていたため、実に沢山の人間が死んでいくのを目にしています。そんな中でどんな死生観を持ったのか、自分は特別だという事を好意的に捉えていたのかそれとも否定的だったのか、日記からははっきりと読み取れないところが良い意味でモヤモヤします。
義母であるクイニーは常にポジティブな人間でベンジャミンに愛情を注ぎ育てたからこそ、たとえ死生観がどちらだったとしても、変にひねくれたりせず自分の思うがままの人生を歩んだのだろうか、などと解釈しました。

ベンジャミンの最後は個人的に少しショックでした。何となく想像はつくけれど、普通よりも遥かに苦難が多くて孤独な人生だったのだなと、そんな印象です。

余談ですが、この映画の原作はF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説だそうです。僕は知りませんでしたが。
元々恋愛映画なんて女子供の見るアレだという僕ですが、なんで観に行ったかといえば、主演がブラピである事の他に、これと似たような話が実際にあったような気がしたから。
子供の時に聞いたのか、オカルト系のガセネタ本で読んだのか、X51.org辺りで見たのか、ちょっとはっきりしていなくてモヤモヤしています。さすがに僕は洋書に手を出すほど聡明な子でもなかったし。一体どこで聞いたのだろうか? 謎です。

オススメ度は5−。デートムービーでもいいけれど、仲の良い友人とでも楽しめると思います。家族では家庭を選びそうな内容かも。性的な意味ではなく家庭環境の意味で。

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