Lazy Bear

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ワルキューレ

第二次世界大戦中、アフリカ戦線に配属されたシュタウフェンベルク大佐は、左目と右手首、左手の指二本を失う。
自他共に認める愛国者の彼は、ドイツが危険な方向へ向かっている事を日々痛感していた。そんな最中、彼は軍の将校の一人からある誘いを持ちかけられる。それは、ヒトラーの暗殺計画だった。

主演はトム・クルーズ。
脚本は実際に起こった出来事に基づいて描かれています。僕もさらっと知っていたので興味があって見ました。若干のアレンジは加えられていましたが、概ねはその通りでした。なので、この事件を知っている人はどういう展開になるのか大体予想出来てしまうと思います。

戦争が背景にある映画ですが、戦闘シーンは冒頭ぐらいで大半はシュタウフェンベルク大佐とその周囲について描かれています。トム・クルーズはさすがにベテランだけあって落ち着きのある演技でした。自分よりも階級が上の人間ばかり相手にしているのに一歩も引かない堂々とした振る舞いと迷いの無い判断力は、上の人間が保身に走ったりオロオロしたりしている事もあり、非常に銀幕映えするものです。ちょっと存在感が強過ぎるかもしれませんが。

史実に基づいているだけあって、戦争の背景の解説があるかと思ったが案外ありませんでした。ヒトラーの暗殺について注視しすぎているような気がします。劇中でシュタウフェンベルク大佐が「暗殺したら後はどうする?」と言って、誰もまともに答えませんでした。製作側は、ヒトラーのマイナスな部分を強調しようとしたようにも受け止められます。また、そのヒトラーについては変に人物像の描き方が薄い気がしました。わざとそうしているのか、それとも無用な論争を避けるための配慮なのか。とにかく、登場人物がみんなヒトラーが悪いとばかり言っているのはどうにもやりきれない感じです。

これはヒトラーの暗殺を描いた映画ですが、案外暗殺を実行しているシーンは緊張感がありませんでした。もっとドキドキさせるようなカメラワークや雰囲気があるものだと思っていたのだけれど。エンターテイメント性を排除したためなのでしょうか。どうも史実よりなのか娯楽よりなのか中途半端な感じがします。

ヒトラーは実際、40回以上の暗殺を仕掛けられています。しかし、それは全て失敗しました。勿論、SSのおかげもあるのかもしれませんが、それ以上に不可解な失敗が続いたそうです。何故か爆弾が作動しなかったり、予定を繰り上げたらたまたま暗殺を免れたり。この映画のタイトルは暗殺に利用された作戦のことですが、ヒトラーがワーグナーの熱狂的なファンであることと、劇中に出てくるワルキューレについての話と、非常に良いセンスをしていると思いました。

オススメ度は4−。何も知らず見ても面白いのですが、ある程度この時代の背景やドイツ帝国について知っているとより楽しめると思います。
悲惨な描写は無いので、意外と中学生以下でも楽しめるかもしれません。特に学生なら世界史で勉強したばかりで丁度良いかも。

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