Lazy Bear

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クィーン

1997年8月31日、元英国王室皇太子妃であるダイアナがフランスのパリにて交通事故により死亡する。
この悲報にイギリス中が悲しみに暮れる最中、エリザベス女王は王室の伝統に則り公式声明の発表を行わなかった。その姿勢にマスコミを初めとする国民の非難が集中する。


実在の事件を元に、当時のエリザベス女王とその周囲を描いたこの作品。

女王を初めとする主要人物は全て実名、そこはかとなく外見も似せており、合間合間の実際の当時の映像を挟んでいるところから、ドキュメンタリータッチの映画に見えるような気がします。
しかしその実際、どこまで裏を取っているのかという疑問も沸き起こる展開で、逆にリアリティが感じません。そしてどういう訳か、ダイアナ元皇太子妃についての描写がかなり偏っています。称えられるような業績はしつこいほど語られ、常にマスコミの餌食にされている生活は描かれているのに、男性関係の醜聞は完全にスルーです。どうも「保守vs革新」「労働党vs保守党」「王室vs国民」のような構図で煽りたいような意図を感じて仕方ありません。

そんな一方で。
王室の苦悩する姿もストレートに描かれているように思います。面倒ごとを起こしたダイアナ、それを煽って王室批判へ摩り替えるマスコミ、あっさり乗せられる国民。どこの国でも同じような問題を抱えているのだな、と何となく思いました。

あと、これは多分崖っぷちのブレア首相のプロパガンダ映画じゃないかな、と個人的に思いました。そういう政治的な思惑やらを意識しないで、ドキュメンタリーではなく、あくまで事実を編集したエンターテイメントとして見る分には十分面白いです。

オススメ度は3+。
古いものは、自分が好きなら伝統と呼び、自分が嫌いなら老害と呼ぶ。
新しいものは、自分が好きなら革新的と呼び、自分が嫌いなら軽薄と呼ぶ。
双方が違える価値観に翻弄される、そんな異常な数日間を苦悩し続ける女王を演じたヘレン・ミレンの演技力は必見です。

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