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必死剣 鳥刺し

海坂藩で城勤めをする兼見三左ェ門は、主君の右京太夫の側室である連子を刺殺する。主君に対する重大な反逆であり、斬首の上お家取り潰しも免れないと見られたが、減石と1年の閉門という寛大な処分で済んでしまう。更に閉門を解かれた2年後には右京太夫の側勤めを言い渡され、兼見は何故自分がここまで破格の対応を受けるのか疑問を抱き続けていた。
その頃の海坂藩は、右京太夫の失政による財政を初めとする問題が頻発、別家である帯屋隼人正との確執も浮き彫りになっていた。


藤沢周平原作の短編小説の映画化。主演は豊川悦司。

剣術の達人でもある兼見が、どうしてここまでの大罪を犯したにも関わらず生かされるのか、が主な筋の内容。それに付随し、海坂藩の抱える問題や、別家との確執、兼見が連子を刺殺した理由など、様々な人間関係が出てきて、誰と誰の思惑が繋がっているのか、とかそんな所を追いながら見ていました。
兼見が温情を受ける理由について、「ああやっぱりそうだよなあ」と思ってしまったのは、優しい中老が岸部一徳だったせいなのか。でも、ここらへんの政治的な入り繰りは時代劇っぽくて十分に楽しめました。こういう背景が無いと、主人公がどうしてあんな行動に至ったのかという理由が分かり難くなるから。

必死剣とまで銘打って飛び出すその秘剣だけれど、ちょっと個人的には今ひとつでした。捨てがまりのような気構えの事なのか、剣を投げて外したら完全にアウトになるようなハイリスクハイリターン技なのか、などと色々考えていたんだけれど、割と拍子抜けするようなものでした。何かしら仕組みや理屈はあるんだろうけれど、その説明が一切無いので、「え?何で?」と疑問が残りました。「刃を引かなきゃ日本刀は斬れないの再現」と「斬りたくない」を合わせたせいでグダグダになった殺陣の後だけに、存外がっかり感が大きいです。いっそ、必殺技など無かった事にしておいて脚本書いた方がよっぽど良かったのでは?

別家の帯屋隼人正を演じた吉川晃司が意外な好演でした。最初この人は誰だろうと首を傾げたくらい、妙にあの世界観に馴染んでいたので驚きです。意外と時代劇いけるタイプなのでは? 殺陣も、ダブルなのかどうかは分からないけれど、良い型に決まってたと思います。

オススメ度は3+。悪くはないんだけれど、どうしても時代劇ファン向けの内容かなあと思いました。もうちょっと必殺技を分かりやすくしてくれるか、そもそも秘剣は無かっただったら勧めやすいのだけれど。

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