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大統領の執事の涙

セシルは綿花畑で働く父の元に生まれ育った。しかし父は雇い主に殺され、母親は廃人同然、いずれは自分も命が無いと感じ、生まれ育った農場を飛び出した。
その後セシルはとあるホテルのボーイの職を得ると、かつてハウス・ニガーとして働いていた経験を活かして、誠心誠意務める。そんな彼の姿勢が功を奏し、セシルはホワイトハウスの執事にスカウトされる。


主演はフォレスト・ウィテカー。
実際にホワイトハウスで長年執事として務めた黒人男性を元にした映画です。
主人公のセシルは、奴隷として扱われ人権など存在しなかった時代のアメリカに生まれ育ちました。それが執事として活躍し、実際にホワイトハウスで何人もの大統領に仕える訳ですが、そんな彼の執事としての顔と家庭での顔、その両面から半生を描いた作品です。
この作品の見所は2つ、仕えてきた歴代大統領のそれぞれの個性と、セシルの家庭人としての顔です。ストーリー上さまざまな大統領が登場しますが、そのいずれもが個性的で非常に魅力あるキャラクターとして描かれています。その一方で、セシルの家庭はお世辞にも上手くいっているとは言えず、長男を始めとする様々な問題に終始晒されて苦悩しています。この2つの対比が非常に良く、いずれ発生する父と子の対立とその末路もまたちょっとした涙を誘ってきます。
結局の所、主人公セシルは主役ではなく、歴史の変動を隅で観察しているだけの執事にしか過ぎません。けれど、彼らもその行く末に一喜一憂する様は不思議と応援したくなるものがあります。何だかんだ言って、アメリカもまた人種問題には長らく苦しみ、今もなお完全に解決したという訳でもありません。その苦悩がよく描かれた作品でもあります。

オススメ度は4.なかなか地味な内容を連想させられますが、決して退屈はしないものだと思います。特に近代史のアメリカを象徴するような出来事も多く、そういった見方をすると入り込みやすいでしょう。

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