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黄金のアデーレ 名画の帰還

カリフォルニアで洋服店を営むマリアは、第二次大戦時に夫とオーストリアから亡命してきたユダヤ系難民だった。
かつてウィーンに住んでいた際に早世した伯母アデーレをモデルに描かれた絵画、それはナチスに収奪され現在はオーストリア国立美術館に展示されている。マリアは絵画を取り戻すべく、若手弁護士ランドルと共に美術品返還審問会で返還を主張する。しかしその絵画はオーストリアにとって象徴的な貴重品であり、案の定マリアの訴えは退けられてしまう。そこでランドルは、新たな手を打つことにする。


主演はヘレン・ミレン。
オーストリア政府に対し、絵画の返還をめぐって訴訟を起こした実際の出来事を元にした作品。
この作品には、意外と様々な立場の人間が居るため、返還を巡る思惑は割と入り組んでいるように感じました。作中でオーストリア政府は完全に悪役として描かれている一方で、オーストリア人にも味方をしてくれる者がいます。ヒトラーと関係の深いオーストリアは、第二次大戦に対する姿勢が実際のところ実に様々あるのだと感じました。主人公マリアもまたオーストリア人ではありますが、オーストリアに対しては嫌悪感を示しており、未だ戦禍の痕を感じさせるセリフも出てきます。単なる絵画欲しさに返還を望んでいるのではなく、戦争の清算の一部なのだと個人的には解釈しました。
見どころはやはり、主演のヘレン・ミレンだと思います。流石にベテランの名優だけあり、とにかくスクリーンでの存在感が段違いでした。主人公はこういう人物だ、ということをさりげない仕草で表したり、軽快だが老人らしいひねくれたセリフ回しをするかと思えば、突然と可愛らしい仕草を見せてきたり、本当に飽きることがない見事さでした。これだけでも十分観る価値があるのですが、やはり他の共演者の演技も良く、過去を振り返りながらの演出や展開もまた上手に引き込んできます。堅苦しい印象があるようで、意外と夢中になれる作品でした。

オススメ度は5。見所が多く、深く入り込める作品です。いささか小難しい印象を受けると思いますが、非常に見応えがあるため満足度は高いはずです。

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