Lazy Bear

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スリー・ビルボード

南部の片田舎に住むミルドレッドは、7ヶ月前に娘を無残な殺され方をする。しかし警察は一向に犯人を捕まえる事ができず、そのことに苛立ったミルドレッドは警察署長のウィロビーを名指しで批判する三枚の広告看板を掲載する。
この事に不快感を抱いた警察官や市民はミルドレッドに対して嫌がらせを始める。それに対し一歩も引かずに真っ向から立ち向かうミルドレッドとの衝突は次第に激化していく。ウィロビーを慕う者はミルドレッドへ怒り、ミルドレッドは自分の行動を妨害する者への怒りを募らせていった。


看板広告をきっかけに繰り広げられるサスペンス映画です。意見の食い違いからの衝突、そこから生まれる怒りと報復の連鎖が見所の人間ドラマで、ジャンル的にはサスペンスとかクライムサスペンス辺りなんでしょうが、群像劇のヒューマンドラマに近いように思いました。
被害者の母親であるミルドレッドの主張は当初こそ真っ当に思えたのですが、これがふたを開けてみれば全面的に同意できるようなものでもありません。警察署長のウィロビーは人望厚く職務に対して忠実のようだけれど実際はまともに仕事を続けられるような状態でもなく、また部下の躾がかなりなってない印象を受けました。ミルドレッドに敵対する者、協力的な者、様々いますが、案外明確な善人悪人というものが少なく、非常に人間的な打算があったり感情的なものがあったりします。そんな中で話がどんどんとこじれていって最終的には目的すら見失っていくような展開に、破滅的なカタルシスを覚えました。話が複雑になって登場人物の思惑が入り乱れこんがらかっていくけれど、意外と話がどういう方向に進んでいるのかわかりやす辺り、脚本に役者に実に見事だったと思います。

オススメ度は5−。話が複雑そうで二の足踏みそうな作品ではありますが、何となく話の筋は見えてくると思います。この見事なカタルシスの見応えは十分にあるでしょう。

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