Lazy Bear

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ダークナイト

犯罪率が日々上昇するゴッサムシティ。そこへ巨悪と徹底的に戦ってきた検事のデントが赴任してくる。
時を同じくして、とあるマフィアの資金を預かる銀行が強盗に遭う。防犯カメラに写っていたのは、顔に化粧を施したあの因縁の男だった。

「バットマン・ビギンズ」に続くクリストファー・ノーラン版のバットマン二作目。
今回登場する、バットマンの宿命の敵ジョーカーを演ずるのはヒース・レジャー。「ROCK YOU!」での主演は若手とは思えないほど好演で非常に良い俳優でした。しかし、今年の1月に急死されてしまったのが非常に悔やまれます。

本作ではバットマンとジョーカーの戦いが中心ですが、個人的にはバットマンとゴッサムシティとジョーカーの三つ巴だと思います。バットマンの存在はゴッサムシティでも賛否あり、本人もそれを認めつつ引退の機会を探っているような素振りがありました。ただ、そこをジョーカーが狂気としか言いようの無い引っ掻き回し方をし、そのせいでバットマンとその周囲が苦悩する姿は、本当に見ていて胃の痛くなる思いです。

バットマンを演ずるクリスチャン・ベイルは相変わらず格好良かった。表の顔では大企業の会長として爛れた生活をし、裏ではバットマンとして奔走する毎日。身体能力もそうだけど、体作りも凄いしそもそも造形がハンサムだし。立ち居振る舞いがいちいち決まってるのは一流なんでしょうな。
彼を支えるアルフレッド役のマイケル・ケインやフォックス役のモーガン・フリーマンも文句無し。脇役として目立ちすぎず、しかし存在感を放つ絶妙さ。どちらもベテランだからそれぐらい出来て当然なんだけど、やはり凄いものを見ると凄いと思わず漏らしてしまいます。

そしてジョーカーを演ずるヒース・レジャー。ジョーカーはメイクしているので顔はあれだけど、こちらはもう行動がほとんどコミカルに狂ってていちいち気持ち悪い。ジャック・ニコルソンがジョーカーを演じた時もこんな感じだったけど、負けず劣らずの怪演ぶり。ジャック・ニコルソンがヒース・レジャーに「ジョーカーは辛いよ」と言ったらしいけど、確かにこんなキャラを演ずるのは並大抵の神経じゃ無理。ニーチェよろしく自分も怪物になってしまうようなところまで重ねないと駄目かもしれない。そこまで自分を追い込めた俳優だっただけに、ヒース・レジャーの死は本当に惜しい。

クリストファー・ノーラン版が始まった際にバットマンの設定は全てリセットされた訳ですが、ちょっと今回の設定には幾つか疑問もあったりします。
一番気になるのがジョーカーの設定。元々ジョーカーはシリーズの度に設定(というか生い立ち)が変わり、しかも個人情報が全くデータに無いキャラです。頭は見ての通り狂い過ぎて身の上話も話す度に変わるので、公式ではジョーカーは色々言うけど結局何一つ不明、となっています。
そんなジョーカーだから、今回リセットされた事だし、どうとでも設定を作れる訳で。にも関わらず、前作のラストにカードを出し、それからさも当たり前のようにライバルキャラとして躍り出てきた本作。個人的にそれがちょっと戴けない。知っている人は幾らでも解釈するけど、知らない人は「何こいつ、昔の知り合い?」ぐらいにしか見えないのではと思います。せっかくリセットしたんだから、もっと因縁を作ればいいのに。そう個人的には思います。

オススメ度は5。善悪に深く突っ込む内容のため、物凄く重苦しい映画です。バットマンをよくあるヒーロー物と思っている方、特に大人には見て貰いたいです。
バットマンシリーズは今後も何作か続くと思いますが、過去とは全く別のものと解釈して貰って良いと思います。ノーラン版はまだ2作目。今からでも十分追えるのでは。
そして最後に、ヒース・レジャー氏に合掌。

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