Lazy Bear

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ブラインドネス

ある日、一人の日本人の青年が突然失明する病気を発病する。目の前が真っ白になり何も見えなくなるこの奇病、眼科医が精密検査をしてみるものの全く異常を見つける事が出来なかった。
やがて同様の症状が次々と発生、事態を重く見た政府は発病者を隔離施設へ隔離し対策を練る。
その施設には、最初の発病者である日本人青年と彼を診察した眼科医が入っていた。そして眼科医の妻も入所していたが、彼女は発症していないにも関わらず夫に付き添うため発症していると偽っていた。


原作はジョゼ・サラマーゴというノーベル賞作家の小説だそうです。
世界中の人間が突然次々と失明するという異様な状況の中、主人公に位置するジュリアン・ムーア演ずる眼科医の妻は唯一目が見えるため、様々な苦悩を抱えるといった出だしになります。

正直な感想として、これは本当に醜い映画でした。目が見えなくなった事であらゆる人間が地を丸出しにして、利己的に振る舞い、しかも欲望には忠実というとんでもない内容です。特に中盤の展開は本当に酷い。一人で見てもドン引きするのだか、きっと友人や家族と見た人などはどうなったのやら。

とかく人間の醜い部分を全面に押し出しつつ、主人公が奮闘する姿は健気で痛々しさすら感じました。こういう限定的な極限状況下において人間性を描くのは、星新一かスティーヴン・キングかというところでしょうか。一体どうやってオチをつけるのか最後までハラハラしてましたが、意外と綺麗な落とし方でそこだけは一安心できました。

突然失明するという特殊な状況下を使い、本当に素の人間の姿を良く表現したと思います。思わず眉をひそめるような部分が多いけれど、正直な所突然目が見えなくなって食べるものにすら困ったりすると、自分でも今まで通りの精神面を保てるか不安になります。そういった意味でも、実に深い一作のように思いました。

オススメ度は5−。ただし、内容が暗いどころか人によっては吐き気すら催すかもしれないレベルのため、休日に家族で見るような映画ではありません。9割が汚い人間で構成されても大丈夫ぐらいでなければ、観賞するのは控えた方がいいように思います。

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