Lazy Bear

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誰も守ってくれない

船村家は平凡な4人家族だったが、ある日長男が小学生殺害の容疑者として逮捕される。
加害者家族をマスコミのバッシングから避けるため、警察は保護プログラムに基づき各々に保護役の刑事をつける。
容疑者の妹である沙織には、勝浦という刑事がつけられた。勝浦は家庭環境に問題を抱え仕事どころではなかったが、沙織が自分の娘に近い年齢のため、何となく重ね見るようになる。


主演は佐藤浩市。

犯罪加害者の家族にスポットを当てた映画で、刑事モノにしてはまあ珍しいかなと思います。サスペンスやそういったものではなく、加害者家族はどういった境遇になるのかに着目されているようでした。
ただ、社会派ドラマとか擬似ドキュメンタリータッチとか言う割に、そんなに社会の実像を描いているようにも思えず、またドキュメンタリーっぽいカメラワークという訳でもありませんでした。昔良く見た2時間ドラマに似ている雰囲気です。

世間の目を逃れて回る勝浦と沙織を、みんなが追い掛け回すといった脚本だけど、正直中途半端過ぎて「この監督は何がしたいの?」という感想でした。勝浦には過去のトラウマが今現在の生活にも影響しているような描写があるけど、それが話に決定的に絡んでくることもなく。痛みがどうこうとか家族を守ろうとか言う割に、心境の変化というものが描写されることもなく。中途半端に引っ張りまわして日数だけ経っていきなり終わりという感じです。ありがちな「必然性の欠落」でしょうか。リアリティはさほど感じませんでした。取材とか取調べとかネットの祭りとか、テレビで見たイメージで書いてない?? 多分そのせいかも。

ちょっと気になったのが、登場人物がみんな考え方が妙に偏っているような印象があること。主人公と相方の松田龍平演ずる三島は分かりやすいけど、それ以外がどうも作為的というか自然さが無いというか。
それでも序盤は、「マスコミって気持ち悪いなあ」という感じで見るんだけど、中盤以降があまりに露骨になってきて違和感というより気持ち悪さが出てしまった。この脚本って想像だけで書いてないかな?と疑問を持つ訳で。だったらだったでもう少し綺麗に落としても良かったんじゃないかと思います。

ネタ的には物珍しいけど、正直練りが足りないように思います。もうちょっと節々で綺麗に繋げたり、伏線らしい伏線はきっちり繋いだりすれば、もっと面白いものになったはずなのに。このままだと俳優とお金の無駄遣いだと思います。役者はみんな演技が良かったのに。佐々木蔵之介の気持ち悪いマスコミ像と柳葉敏郎の純朴な被害者家族役の複雑な心境の演技は特に良かったです。

オススメ度は3−。年寄りが年寄り向けに作ったような映画なので、家族で見るのにはちょっと向かないと思います。暇潰しに軽く流す程度で良いでしょう。

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