Lazy Bear

Categories

Archive

Site search

Feeds

Meta

父親たちの星条旗

第二次世界大戦において、勝敗を左右するとさえ言われた重要な拠点。それが硫黄島だった。

苛烈を極める戦闘は一ヶ月以上にも及び、アメリカ軍は予想外の被害を受ける。
その最中、兵士達は勝利のシンボルとして摺鉢山に星条旗を立てる。その写真は国内へ大々的に報じられ国民は熱狂する。そして星条旗を立てた兵士達は、破綻寸前の国庫を救済すべく国債のキャンペーンへ駆り出されることとなった。


クリント・イーストウッドが監督する、硫黄島での戦いを日米双方の視点から描く『硫黄島プロジェクト』、その第一弾。

アメリカ側からの視点で描かれたこの作品は、主に摺鉢山へ立てた星条旗とその兵士達にまつわる形で構成されていました。
大まかな印象としては、戦争映画だというのに驚くほどプロパガンダ性がなく、ただありのままに起こった出来事を記録映画にならない程度にインスパイアした作品でした。

大半を占める戦闘シーンですが、とにかく迫力と臨場感に溢れていました。しかも、驚くほど当時を再現しており、スタッフロールで登場する当時の記録写真とそのままの光景が幾つも出ています。
ただ、あまりにリアリティを突き詰めているせいか、時折酷く損壊した死体が飛び出すショッキングなシーンもあります。銃創も一つ二つではありません。それだけに、戦場の恐怖と緊張感が伝わってくるのもまた事実です。

硫黄島の事は名前ぐらいにしか認識していませんでしたが、どれだけ悲惨な戦いだったのかはこの映画だけで十分理解できました。また、当時の米国も実は経済的に切迫していた事も初めて知りました。そのため、ここで語られる星条旗にまつわる逸話のような出来事が起こったのでしょう。

構成は少々前後し過ぎて視点も変わる所が少し鼻につきますが、それほど不快感を抱かせないよう綺麗にまとめられてはいました。ただ、少なくとも主要人物4名は覚えておかないと混乱するかもしれません。

スタッフロールの後に、第二弾「硫黄島からの手紙」の予告編があります。
とにかくこの作品の出来栄えが良かっただけに、非常に期待の持てる予告編になっていました。

オススメ度は5。
近年のバラエティみたいな戦争映画とは全く違う、実に満足のいく映画でした。プロパガンダ的なものも無く、反戦どうこうという鬱陶しい思想も無く、ただありのまま起こった出来事を描いています。楽しむために観る映画ではありませんが、決して損の無い映画です。12月3日に公開される第二弾も踏まえ、是非とも観ておくべき映画でしょう。
ただし、僕は少なくとも二つ、思わず息が止まった残酷描写がありました。それだけは注意です。

Write a comment