Lazy Bear

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手紙

武島直貴は、兄の剛志と二人で暮らしていた。
剛志は運送会社に勤め、直貴を大学へ通わせるべく仕事に打ち込むも腰を痛めクビになってしまう。どうにかして金を稼がねばと思いつめた剛志は強盗殺人という罪を犯してしまう。
大学への進学を諦めた直貴は、中学からの同級生と漫才コンビを組みメジャーデビューすることを夢見ていた。しかし、直貴は行く先々で犯罪者の弟としてのレッテルを張られ不当な扱いを受ける。そんな直貴の元には刑務所から毎月剛志からの手紙が届いていた。


原作は東野圭吾の同名の小説から。

僕は原作は未読ですが、一通り見終わって最初に思ったのは『久々に感動できる映画を見た』という一念に尽きます。
直貴役の山田孝之は電車男、玉山鉄二は逆境ナインのイメージしかなかったのですが、この映画はそれらをまるで払拭するほどの素晴らしい演技を見せてくれました。
どれだけ努力しようと決して認められず白い目を向けられる直貴の、怒りや諦めの入り混じった複雑な人柄。剛志の服役しながら既に罪を償い終えたかのようなどこか現実感の無い手紙の語り口。そしてラストシーンでの涙と、とても粗探しをしない限り悪いと思える点はありません。これが本来の実力なのか、たまたまの奇跡なのかは、あまり両者の作品を見ていないので何とも言い難いですが。

また、作中の漫才も適当な作りではなく、実は意外と手の込んだセリフ回しがあったり、非常に良かったです。そういった細かいところも何気に拘っているので、時間を忘れるほどスクリーンにひきつけられました。

気になった所は二点。山場のセリフが一つ「そうじゃないだろ」という納得のいかない言葉があった事。これは原作の通りなのかもしれないので、それはよしとして。
もう一つ気になったのが、主役に絡むヒロインの演技力の無さ。喜怒哀楽がまるで区別無く、ただキャンキャン吠える非常に鬱陶しいだけの存在にしか思えませんでした。これでは主人公の生い立ちに関係なく普通は距離を取りたがるのでは?とも思います。ここもまた原作が未読なので、このキャラが正確に表現されているのかはわかりませんが。とにかく、どうしても一人浮いてしまっている感がある、これが一番のマイナス。ヒロインは別な女優を使うべきでした。

オススメ度は5ー。
非常に辛くもの悲しい物語ですが、あからさまな感動を狙っている訳でもなく、ただひたすら胸が痛んだり熱くなったりする映画です。そういう強い衝撃が欲しい方には特にお勧め出来ます。実際に兄弟の居る人や家族で観に行き、何か感じて貰いたいと思います。

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