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ローマ法王の休日

ローマ法王逝去に際し、バチカンでは各国の枢機卿達が集められ新法王を決めるべくコンクラーベが始まった。
投票を幾度と重ねた末にようやく新法王に決まったのは、全くノーマークだったメルヴィルだった。
広場に集結する大勢の信者達が見守る中、メルヴィルは就任演説をするのだが、そのプレッシャーに負けてしまい、あろう事か逃亡してしまう。

ローマ法王が重責に負け町中へ逃げてしまうという、そんなコメディ映画です。
予告編からは宗教要素の強いコメディ映画だと思っていたのですが、実際に蓋を開けてみると、確かにコメディ映画ではあるものの、主人公のメルヴィルの苦悩が非常に複雑に重く描かれていて、その言葉一つ一つに強い印象を受けました。そのため、笑ったりしんみりしたり、その繰り返しの多い映画だと思います。
また、描かれるのは逃亡するメルヴィルだけでなく、残された枢機卿達と事態を収拾するために駆けずり回る報道官の視点もあります。報道官はメルヴィルをどうにかバルコニーに立たせて演説をさせるべくセラピストを手配したり、逃亡した事実を公にせぬよう隠蔽工作をしたり、非常に苦労人という印象を受けました。その一方、集まった枢機卿達は非常にのんびりとマイペースで、まるで修学旅行のようなノリで全く危機感がありません。逃亡の事実を知らないにせよ、新法王の様子がおかしい事くらいにも気づかず遊び呆けてるというのはなんとも。
それらも含め、笑いの要素は非常にシニカルなものが多かったです。特に閉じ込められてしまったセラピスト(本作の監督)はその傾向が強く、帰して貰えないと分かってからの開き直り具合が凄かった。お茶目な老人達をうまく操縦して作る笑いは非常に楽しめました。
しかし、突如として映画の雰囲気が一変しラストシーンが訪れるのですが、これが僕には意外な内容でした。良くも悪くも、コメディ映画の王道からは外れています。メルヴィルは最初から最後まで、何故自分がこんな重責を背負うのか、と嘆いていましたが、それを初志貫徹したような感じです。ある意味ブレていないオチではあるのだけれど。

オススメ度は4−。ラストは案外賛否が分かれると思います。コメディ映画としては楽しいですが、所々考えさせられる台詞も多く、一筋縄では行かない作品であるとも言えます。

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