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コッホ先生と僕らの革命

イギリスへ留学していたコンラート・コッホは、学習実験の一環としてある名門校へ呼ばれる。そこで英語教師として教鞭を奮う事になるのだが、当時は帝政時代のドイツ、規律と服従を強いる非常に保守的な世情で、学校もまた例外ではなかった。
ある日コッホは、クラスの生徒にイギリスで学んだサッカー(フットボール)を教える。たちまち生徒達はサッカーに熱を上げるのだが、保守的な後援会の面々はこれを快くは思わなかった。


ドイツサッカーの父とも呼ばれる存在であるコンラート・コッホの実話を元にした映画です。
息苦しい学校ので生活する生徒達にサッカーを伝導するものの、周囲の理解がなかなか得られず悪戦苦闘するといった内容です。
生徒達も上流階級の子息がほとんどで、いずれも一筋縄では行かない賢しさもあり、まず彼らの信頼を得て、クラスを一丸とするまで一苦労でした。そこから今度は様々な立場の大人達との対決となり、時には生徒を庇い、時には生徒に助けられたりと、そんな温かい学園ドラマを見ているような気分になりました。
当時のドイツはフランスに戦勝した直後という事もあり、非常に上向きの気流にありました。そのため、大人も子供もドイツが世界一という自尊心のようなものがあり、イギリスは野蛮人でサッカーは野蛮人の球遊びという位置付けです。それを如何に理解を得て広めていくか、コッホの情熱と苦悩の日々が、シリアスさとコミカルさをバランス良く使って表現されています。
それでもなかなか受け入れられないサッカーだけれど、それがクライマックスの急な盛り上がりで一気に火が点き、そのままラストを迎えるという非常に爽快な終わり方をしています。こうしてサッカーが広まった、というエピソードとしては非常に面白い内容でした。欲を言えば、どうして規律と服従の文化が悪しきもの扱いなのか、その説明があれば良かったかなと思います。コッホは単にサッカーが好きで、ドイツにも普及させたいという熱意がありました。けれど子供達は、単に面白いから大人が邪魔、程度にしか描かれていません。これまでの価値観を一変させるほどサッカーが面白かった、という解釈も出来なくもないけれど、ちょっとのめり込み方が極端かなあと思いました。

オススメ度は5。上映している映画館がほんの僅かなのが勿体無いほど、非常に面白い映画でした。サッカーに関する知識は全く必要ないので、どなたでも広く楽しめる作品だと思います。

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