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もうひとりのシェイクスピア

16世紀、エリザベス1世が統治する時代のイギリス。エドワードは、若い頃から密かに戯曲や詩集を幾つもしたためていた。しかし、芝居には政治的思想があると弾圧される事が多い時代、伯爵であるエドワードにはそういったものを安易に公表する事など許されなかった。
ある日、ベン・ジョンソンという若い作家が扇動的な芝居を書いた罪で投獄される。それを知ったエドワードは、彼を釈放させるよう手を回す。突然の釈放に釈然としないベンは、エドワードの屋敷へと招待される。そしてエドワードは、彼に自分が執筆した戯曲をベン名義で劇場でかけてはくれないかと持ちかけるのだった。


監督はローランド・エメリッヒ。これまでの作品からガラリとイメージが変わり、シェイクスピア別人説をモチーフにした、16世紀イギリスのフィクション映画です。
登場人物はほぼ実在の人物で、主人公であるエドワード・ド・ヴィアーはシェイクスピアが書いたとされる作品の本当の作者では無いのか、と言われる人物の一人です。
エドワードは終始言葉の力というものを信じ、また取り憑かれたように戯曲を書き続ける、幾分変わった貴族として描かれていました。ベン・ジョンソンは苦悩する作家、シェイクスピアは脳天気だが名誉欲が非常に強い役者という立ち位置です。
ストーリーは、時間軸が頻繁に前後しながら、エドワードの送ってきた人生、そして冒頭で逮捕されるベン・ジョンソンがそこに至るまでの経緯が描かれていきます。この時間軸の前後が本当に多く、また唐突に行われるため、結構混乱しがちです。名前にしても、同じ名前の人物が居るため分かり難く、中盤は人の整理をするのに大分頭を悩まされました。もうちょっと脇役陣の個性を分けてくれたら見易かったのに、と思います。
エドワードやベンがどれだけ言葉にこだわるのか、特にそこら辺が強調されて、それに振り回される周囲、そして何よりエリザベス女王との関係などもフィクションならではのスキャンダラスさで、二転三転する展開は非常に楽しめました。ただ、シェイクスピア別人説そのものではなく、あくまで異説程度の認識で観るのが良いと思います。実際のところ、本作でのシェイクスピアはほぼ脇役も同然の立ち位置のため。

オススメ度は4+。やや時系列的に追い難い所もありますが、フィクションとして観るにはなかなか面白い映画でした。鬼気迫るほど何かに打ち込む主人公が好きな方には特にオススメです。

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