Lazy Bear

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アンコール!!

アーサーは頑固で偏屈な気質の老人だった。そんな彼も、妻のマリオンにだけは素直で優しかった。マリオンはアーサーと違って明るく交友関係の広い女性で、現在は趣味の合唱教室に通っていた。しかし、マリオンはかつて癌を発症した事があり、それがある日遂に再発してしまう。既に有効な治療手段の無いマリオンは、合唱コンクールのソロパートに全力を尽くす。そしてアーサーは、これまでは小馬鹿にしていた合唱に対して、少しずつ興味を引かれて行く。


偏屈な老人のアーサーが、合唱コンクールの本戦にて大勢の観客の前で歌うという、彼の人生の大きな転機を描いた作品。アーサーは頑固で偏屈ではあるものの、親愛や愛情の表現が苦手な人物として描かれていました。そのため、彼のマリオンに対する姿勢は、朴訥ではあるものの非常に愛情の感じられるもので、如何にも古いタイプに感じます。
そんな彼が、明らかに性格に合わない陽気な合唱チームの「年金ズ」に加わり、戸惑いながらも少しずつ歌を歌う事に素直になっていく展開は、見ていて非常に微笑ましいものがあります。ただし、この映画の主幹は此処ではなく、アーサーの人生観や人間関係の変化にあると思います。アーサーは息子との折り合いが悪く、その関係を何とかしたいとも思わず距離を置く事が最善と考えていました。しかし、やがてはこれをどうにか変えたい、そういう心情の変化と、アーサーが実際に起こす行動にはついつい涙を誘われます。人に対して素直になれない人ほど、案外アーサーに対して共感を得られるのかも知れません。
クライマックスでのアーサーのソロシーンは、これまでの経緯と彼自身の変化や決意を踏まえ、つい涙が出て来ました。マリオンのソロとアーサーのソロは、歌詞の内容や行き着くまでの経緯が対照的で、それぞれ違った盛り上がり方があります。この作品には云わば2つのヤマ場があり、それぞれが感動的に演出されているのは本当に凄いと思いました。

オススメ度は5。ハートフルで誰にでも楽しめるようなタイプの作品です。気持ちがささくれだっている時こそ、こういった作品を鑑賞すると気持ちが安らぐのではないかと、個人的には思います。

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