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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

東西の冷戦時代、アメリカは全国的に反共産主義の過激な活動が蔓延していた。その風潮はハリウッドでも例外ではなく、共産党に関わった人間は次々と取り締まりを受ける。ハリウッド・テンと呼ばれた才能ある脚本家達も投獄の憂き目にあった。しかしトランボは仕事を失っても実名を隠して数々の脚本を書き続ける。その中にはあの有名なローマの休日も含まれていた。


実在の脚本家ダルトン・トランボの半生を描いた伝記的な作品。本作にはトランボを始め、ジョン・ウェインや著名人が実名で登場します。テーマが反共産主義ヒステリーなのに、こうも実名を沢山出しているのには驚きました。テーマといい、非常に挑戦的な内容のように感じました。
トランボは共産主義者であるため不当な扱いを受けながらも、手を変え品を変え脚本家のしごとを続ける不屈の男として描かれていました。しかしトランボ自身は決して聖人君子ではなく、むしろ不遜で家族を顧みない欠点ばかりの男でした。そのため、様々な苦悩や葛藤する様が多く、彼が決して特別な人間ではないという印象を受けます。話は陰鬱なものばかりではなく、かなり小気味良いテンポの掛け合いや会話も多く、強弱に富んだ構成だったと思います。
割とハリウッド的には自身の恥を晒すような作品だと思ったけれど、それを一つの作品に昇華しているのは流石だと思いました。完成度だけでなく意欲的な内容であるのが素晴らしいです。

オススメ度は5。案外重苦しくない軽快な内容ですので、肩肘張らず気軽に見てみると良いでしょう。また昔のハリウッド関係者の名前を知っているとちょっとだけ得した気持ちになるかも知れません。

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