Lazy Bear

Categories

Archive

Site search

Feeds

Meta

シン・ゴジラ

東京湾で突如発生した正体不明の熱源は、前代未聞の巨大生物だった。未曾有の生物災害にさらされる東京、各省庁は対応に追われるものの前例のない災害に後手に回らざるを得ず、結果として大きな被害をもたらした。
謎の巨大生物はゴジラと命名、その再上陸に備え様々な手段を講じるものの、ゴジラはそれら全てを嘲笑うかのように安々と抜けていく。


監督は庵野秀明、樋口真嗣。
日本では知らない人はいないかも知れないほどの有名な特撮映画の名作、その最新作です。
今回のゴジラは最近のシリーズとは違い、過去のゴジラを彷彿とさせるような内容や設定でした。ゴジラが人間の業から生まれ、神のように手に負えない強さで街を破壊していきます。それに対抗する人間側も、いわゆるSFチックなものではなく現存する兵器で戦闘を行います。そして、そういった戦闘行為も含めていちいち裏方が書類仕事や調整に追われるというのが、如何にも現代日本っぽい印象を受けました。
ドラマ演出のモキュメンタリーといった雰囲気ですが、やはり監督が庵野秀明であるためか、如何にも庵野らしいカラー、端的に言えばエヴァンゲリオンっぽい点が随所に見られます。とは言え、割と雰囲気に合っているため、特段気にはならないでしょう。
本作のゴジラは、とにかく恐ろしい存在でした。歯並びが滅茶苦茶で人間っぽい目に赤く光る体と、ややグロテスクにすら見えます。個人的には肌の赤い部分は変なデザインだと思ってたのですが、夜間のシーンになり暗闇にこの赤色だけがくっきりと浮かぶ様は、かなり背筋がゾクッと来ました。多分こういう見せ方も計算しているんだと思います。そしてゴジラの戦い方は、あの貧弱な前足から想像した通り、光線が主体でした。しかしその威力やら迫力が尋常ではなく、こんなの勝てるか!と心底思えてならない強さです。2014年に公開されたハリウッド版ゴジラのように、ステゴロ主体の躍動感溢れるゴジラも魅力的ですが、本作の異様な風貌で理不尽に強いゴジラもまた魅力的だと思います。
対応に追われる人間サイドの方が話としてはメインですが、こちらも非常に面白かったです。主人公が絶妙な中間管理職であり、とにかくどうにかしてゴジラに対抗しようとするもなかなか状況が良くならず、精神的にも追い詰められていく悲壮感は本当に強烈でした。割とアクの強い脇役も多く、こういった人物達を魅せながらも群像劇にはしていないバランス感覚は絶妙だと思います。
本作は大の特撮好きの庵野秀明であるためか、かなりマニア色が強いようにも思いました。対象としているのが特撮の好きな大人であるように思い、子供はポカーンとするかも知れません。特撮にかける異様な執念を観る側がどう捉えるかで、本作の評価は変わりそうです。

オススメ度は5。意外と万人受けはしない内容だと思います。しかしゴジラをある程度知っていて好きな層には、間違いなくストライクな内容でしょう。

Write a comment