Lazy Bear

Categories

Archive

Site search

Feeds

Meta

ミッドナイト イーグル

戦場カメラマンの西崎は、ある戦場を境にこれまでのような作品を一切発表しなくなり、生活のほとんどを山で過ごすようになる。
そんな西崎がある晩、偶然にも墜落するステルス機を目撃、撮影する。その後、スクランブルでF-15が出動、この状況に疑問を抱く。

墜落したステルスは米軍の爆撃機であるB-5と判明、政府はただちにレンジャー部隊を派遣し回収へと向かう。
この状況を不審に思った新聞記者で西崎の後輩である落合は、渋る西崎を無理やり連れて真相の追究へ乗り出す。

同名の小説が原作。未読ですが、珍しく観た直後に原作本を買いました。理由は後述。

雪山アクションのパートと組織の企みを追うパートの2つに別れ、この事件を解明していくというそんなストーリー。TVCMでラブストーリーとか言ってるけど、ほぼ皆無です。ええ、いつもの馬鹿宣伝。

序盤、安っぽいセットの戦場が出てきて「海猿と同じ匂いがする!」と思ったんだけど。結果的に明らかにおかしいのはそこだけでした。
原作が良いのか、かなり面白かったです。単に雪山を登るだけにも色々と思惑が交錯し、動こうにも吹雪で思うように動けないため歯がゆい思いをする政府、そして不審な動きを見せる謎の組織、アクションだけでなくそれらの行動を追うだけでもそれぞれ特徴が現れていてぐいぐいと引き込む力がありました。多少伏線の回収が出来過ぎていたり雪崩の関連など突っ込み所はあったけれど、さほど気になるレベルではないかと。

今年の邦画では珍しく良い出来映え。俳優陣の演技も良く、脚本もおおむね良好。大沢たかおと玉木宏、吉田栄作の掛け合いは見事だったと思います。如何にも男の世界的ないい雰囲気。特に吉田栄作はしばらく見てなかった俳優なんだけど、随分と渋い役柄を演ずるようになってました。凄く良い年の取り方をしていた。これはかなりカッコいい。それと、個人的にだけど何故か公安役の人の顔が妙に印象に残ってしまった……。なんか変な存在感というか知りもしないくせに「ああなんか公安っぽい」って思わされて。

一点だけ、気になる点が。それは謎の組織が最後まで謎の組織のままにしていること。工作員が在日で左右対称姓の日本名持って中国が絡むなら、どう考えても北朝鮮だろ。六者協議とかその辺も絡ませてるみたいだし。ちょっと普段のニュースだけでも気をつけてみてる人なんかはすぐに気が付くんじゃないかなあ。でも、どうして北朝鮮という実名だけを隠しているのかが理解出来ない。これは原作もそうだからなんだろうか? それとも協賛に朝日新聞が関わってるから? 下世話な見方かもしれないが、何かしらの意図で伏せられたようにしか思えない。

作品としての出来映えはいいんだけれど、処々に疑問点が残るため原作本を買いました。多分原作ではまた違うんだろうかと思います。
そういやB-5って架空の戦闘機らしいです。ってな事を言って、実は存在するんだろ? なんて捻くれた事を思ったり。その辺の解説もあるかなあ。

オススメ度は5−。これは話題作にらしからぬ良作です。マイナスは気に掛かった一点の分。それも気にならないと思う人は相当楽しめるのでは。
ある程度世の中や世界情勢が見えてないと理解出来ない部分も多いだろうけど、確実に一見の価値はあります。
個人的に無防備都市宣言の安全神話なんか信じてる残念な人に見てもらいたい。

Write a comment