Lazy Bear

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光をくれた人

欧州戦線を生き抜くもすっかり生きる気力を失ったトムは、ヤヌス島の灯台守という孤独な職につく。そんなトムに惹かれたイザベルと文通を始めるうちに、二人は結婚し二人でヤヌス島に住む。やがてイザベルは妊娠し、トムと共に幸せな日々を送る。だがイザベルは不幸にも流産してしまう。そして不幸は更に続き、第二子もまた流産し二人は悲しみに打ちのめされる。しかしある日のこと、悲しみに打ち拉がれる二人のもとに一隻のボートが漂着する。そこには一人の男の死体と、元気な赤ん坊が乗っていた。悲しみにくれていたイザベルだったが、赤ん坊に触れた彼女は赤ん坊を二人の子供として育てようと言い出す。


主演はマイケル・ファスベンダー。題材としてはよくある生みの親と育ての親です。そこに生きる気力のないトムと、彼と関わる人々、そして見えるようで見えないトムの心情、そういった要素を推し量るように楽しむ作品です。
タイトルにある光とは、灯台の光と生きる気力とをかけたものです。しかし生きる目的や希望というのは人それぞれであり、また他人にはエゴとして対立もしたり。そういった所の歪に拍車が掛かる終盤は、本当に心苦しいものでした。一度は赦す事が幸せの秘訣とあるけれど、言った本人が不幸な最後を遂げ、それを実践した人もまた不幸ではないけれど諦めを伴う選択をせざるを得ず、幸せとは相対的でもなく概念的なものなのかなどと思わず考えずにはいられませんでした。
ラストはやや詰め込みすぎの早足だったけれど、果たしてトムは幸せなのか、それは望んだものというより妥協の産物なのか、これまた色々と考えてしまいます。きっとトムは誰かに光を与え満足のいく人生だったと思いたいところ。

オススメ度は4。とにかくあれこれ考えてしまう脚本でした。登場人物達の演技も光り、あっという間に時間が過ぎてしまう没頭感のある作品です。

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