Lazy Bear

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ザ・マジックアワー

ギャングのボスの愛人と関係を持ってしまった手下の備後は、ボスがファンである伝説の殺し屋「デラ・冨樫」を連れてくる事で見逃してくれる約束をする。
五日以内に見つけ出さなければ愛人共々殺されてしまうのだが、相手は幻とまで呼ばれる殺し屋のため見つかるはずもない。
幻なら誰も正確に顔を知らないはず、ならばいっそ。
そこで備後は、デラ・冨樫の偽物を立てて乗り切る事にする。そこで選ばれたのは、誰も顔を知らない売れない役者、村田大樹だった。

三谷幸喜監督・脚本作品。
伝説の殺し屋を売れない役者が演じるというコメディなんですが、本人が映画の撮影と思い込んだまま修羅場で傍若無人に振舞うという、この設定が非常に面白い映画でした。
ボスの手下の備後を演じるのは妻夫木聡。ずば抜けた役者ではないけれど、いじられキャラに限っては実に素晴らしいものがあります。そして、てっきり自分の主演映画と思い込み「殺し屋を熱演する」役者を演じる佐藤浩市。昔からクールな役所が多いイメージがあるけれど、近年増えてきた三枚目的なキャラも実に様になっています。今回は「スキヤキウェスタン・ジャンゴ」よりも飛ばしてた印象がありました。

役者は割と顔ぐらいなら誰もが知っている人ばかりで、何となく豪華だなあと思いました。ただ、それぞれが映画においての役所や立ち位置がしっかりしているため、個性が強めのキャラが多いのに互いに潰しあう事無くまとまっているのは凄いと思います。無難にまとまってるだけ、と言ってしまえばそれまでではあるけれど。

見所はやはり、売れない役者の村田が本物のギャングを相手に撮影と思い込んで傍若無人に振舞う所です。しかも逆に気に入られてしまうという、この泥沼感と終始振り回される備後も情けなくて面白い。
そして意外と印象に残る面白さを発揮してるのが、伊吹吾郎が演じる備後の店のバーテンダー。僕は水戸黄門の格之進のイメージが強いです。備後を支える心強い味方だけど、ちょくちょく奇妙な行動を取ったりする妙に存在感のある脇役でした。

後半はちょっとグダグダしてしまって面白くなくなっちゃうけれど、三谷幸喜らしい普通に面白いコメディ映画です。どうも今回はあまり宣伝はしていないようだけど、十分見る価値はあると思います。
ちなみに、タイトルから手品を想像する人もいると思いますが、手品は出てきませんのであしからず。正確なタイトルの意味は是非劇中で確認して戴きたい。

蛇足ではあるけれど、コメディ映画を意識して作ろうとした邦画は実は面白いものが多いんですよ。僕、よく邦画は駄目だとか言っているけれど。
コメディ以外が駄目なのは、無駄にコメディ要素を入れようとするからなんですよ。で、なんでそんなのを入れようとするかと言えば、多分監督が自分の作品に自信が無いから。客受けを意識してやってるんじゃないかと予想してます。ただ、そういう余計な味付けが駄目にしてる訳で。そのせいで駄目になった映画って本当に多い。「なにをするだー!」って言いたくなるほど勿体無いのが多いんだ実際。

オススメ度は4−。幅広く安心して楽しめるコメディ映画です。気軽に見られて楽しめるから、本当にくつろぐために見るのに丁度良いです。
後半ちょっと失速するけど、気分が高まってれば気にならないかも。とりあえず観に行っても損は無いでしょう。

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