Lazy Bear

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エイブのキッチンストーリー

ブルックリンで生まれ育ったエイブの家族は非常に複雑だった。イスラエル人とパレスチナ人とそれぞれを両親に持ち、事あるごとにユダヤ教とイスラム教の対立、文化の違いから衝突を繰り返していた。
エイブの唯一の趣味は料理だった。そんな彼はある日、様々な国の料理をかけ合わせ全く新しい料理を生み出すことを得意とするブラジルの料理人チコの存在を知る。エイブは彼の元を訪れフュージョン料理のノウハウを学ぼうとする。それは、自分の誕生日パーティーではうまく行かなかった家族の融和を、感謝祭パーティーでは果たしてみせるためである。


対立する家族を料理で解決しようとする少年の物語。
大人からすればそんな単純な問題じゃないだろうと思いつつ、目的のため真っ直ぐにひた走るエイブの姿はとても眩しく映った。またエイブの家族達も自分達の主張ばかりで全くエイブに向き合っていないように感じる。そういった疎外感から、一人で没頭できる料理が好きになり七面倒臭い詮索もされないインスタグラムでの繋がりに傾倒していったのかなと思った。その割にチコに弟子入りする時は驚異的な行動力を見せるのだけれど、これはそれだけ家族問題を解決したいという強い意思の表れでもあるのか。
基本的にエイブの立場は主観でも過酷。家族は顔を合わせるごとに口論だから何とか取り持ってやろうとしてもうまくはいかず、両親も何も強要していないと言いつつ気に入らない事はすぐ取り上げようとし、それでも家族を大事にしたいエイブの苦肉の策も果たしてどれだけ見てくれたのだろうかという疑問が残ります。なんやかんやと家族愛を語りつつも結局誰もエイブと向き合ってくれなかったのではないか、そんな印象を受けました。ただチコだけはニュートラルな位置から相応に評価しているように思います。人間が人間と向き合うのに宗教や文化などはかえって邪魔になるのではないか、そう思わされました。

オススメ度は4。想像よりもハートフルストーリーという印象がありません。料理に関してもそこまでクローズアップされている訳でもありません。少年期の苦い思い出を疑似体験するような、そんな感じの内容です。

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